羊水はほとんどがあかちゃんのおしっこです。つまり、赤ちゃんはおしっこの中で暮らしている事になります。でもご心配なく、完全に無菌ですから、決して汚くはありません。妊娠の15週ぐらいから、あかちゃんの腎臓も大人の腎臓と同じようにおしっこを作ります。そして膀胱にためて周期的におしっこをします。おしっこは羊水として、あかちゃんの周りにたまります。あかちゃんは、さらにこの羊水を飲み込んでいます。そして、飲み込まれた羊水はあかちゃんの腸から吸収され、血液中に入り、胎盤を通ってお母さんの腎臓から体外に排出されます。もう一つ、子宮の中にたまっている羊水はあかちゃんの肺にとっても大切な働きをします。赤ちゃんの肺は羊水を入れたり出したりする事により成熟するのです。この肺に羊水を入れたり出したりする運動を胎児の呼吸様運動と言います。超音波で見るとこの呼吸様運動は観察する事ができます。生まれてからの赤ちゃんといっしょ、吸気が短く呼気が長いのです。オッ(吸気)、ギャー(呼気)、オッギャー、オッギャー。「オッ」よりも「ギャー」がはるかに長いのです。 もしも羊水がなくなると胎児の肺は成熟しません。腎臓がなかったり、おしっこができないと肺は低形成となり、場合によっては命にかかわります。尿道が閉塞したため、おしっこができなくなる赤ちゃんの病気があります。腎臓もしだいに機能をなくしますが、もっと大切な事は、肺の機能。羊水量を保つためには、尿道がつまったためふくれあがった膀胱と羊水のあいだにバイパスを作ります。千葉とそのチームは日本で初めてこの胎児手術を行いました。