花子はスットボケ美人

美人花子はジャーマンシェパードですから、少しは番犬らしくなるのかなとある種の期待を持って眺めていました。ところが、いつまでたってもかわいらしい女の子のままです。人間に対してだけではなく、犬に対しても同じで、ご近所のミニチュアダックス君が門の前を通りかかたりすると、ベターと腹這いになり、ニコニコ笑顔で語りかけるものですから、ご近所では犬と言わず、おばさんも、お姉さんも、強面の訓練士のおじさんまで、門の前で花子の面会を請うようになってしまいました。

さて、そんな花子の訓練の開始です。ジャーマンシェパードはお仕事犬ですから、おしっこやうんちを仕事場でやってしまうと、格好がつかなくなります。ナンバーワンと言えばおしっこ、ナンバーツーと言えばうんち、お仕事に行く前に済ますよう訓練されます。花子をヨットに連れていきますと、ヨットに乗る前にちゃんと決まった場所でナンバーワンもナンバーツーも済ませておく事ができます。さすが賢いジャーマンシェパードとなるはずですが、自宅ではどうもうまく行きません。彼女が喜びを表現する時は、全身で表現します。どうもその感情表現の中におしっこをちびるという表現が含まれているようです。たまたまその時、膀胱が満タンだったりすると、もういけません、そのままジョワーと出てしまいます。花子が赤ちゃんのとき、熱湯とウエスを持って家中を這いずり回りました。花子のうれしいチビリは少し大人になった今も完全には治っていません。でも賢いジャーマンシェパードですから、うれしい事が起りそうな時、先に庭へ出て用を済ませてから驚喜をするようになってきました。私が起きて二階から降りて来た時など、彼女はそっと庭へ出ていきます。こちらも、花子が驚喜しそうな時は、庭へ出て会う事にしています。いたずらをしたり、ソファーを破ったり、花壇を掘り返したりしても、美人花子はニッコと笑顔を見せれば人はそれほど怒らない事を知っているようです。これが先代のリキですと、怒られると判ると緊張で直立不動でしたが、花子はスットボケをきめ込みます。つまり、人間の美人と同じ。赤ちゃんの時から可愛い可愛いと育つと、人も犬もスットボケになるに違いありません。花子の訓練、どうも今までとかってが違うようです。花子生後八ヶ月です。