主席卵胞

超音波断層装置を用いれば卵巣の中に卵胞と呼ばれる中が液体で満たされた袋が見えます。

この卵胞が割れて中から卵子が腹腔内に飛び出します。卵胞は両方の卵巣に複数個出現するのですが、その中で最大の卵胞径をもったものだけが排卵します。卵胞の観察ができるようになった当時、東京大学の産婦人科の先生がこの最大径をもった卵胞のことを主席卵胞と名付けました。さすが東京大学の先生だと感心したのを覚えています。我々凡人は学校の成績が主席になどならないので、主席なんて言葉は思い出しようがないのですが、東京大学の先生は、小学校の時から何度も主席を経験されたのでしょう。主席卵胞のサイズが20㎜を超えますと、夫婦交渉をもってもらい、翌日にhCGという注射をして排卵を促します。この方法を不妊治療におけるタイミング指導と呼んでいます。おおくの場合はクロミッドと呼ばれる内服の排卵誘発剤を月経第5日目から5日間服用します。すると月経13日か14日目に主席卵胞が20㎜を超えます。自然の状態では下垂体からLHと呼ばれる排卵を促すホルモンがでるのですが、不妊治療の場合LHに構造がよく似ていて排卵を促すホルモンを注射します。hCGは人の胎盤から抽出されます。この写真のかたはこの次の日に妊娠が成立しました。現在妊娠5週です。

Top