オフピステファッション

 八方山荘で早めの昼食を取り、クランポンを付けて登り始めました。スキーは細引きに付けて引っ張っています。雪のしまった春山ではこの登り方がけっこう楽でお気に入り、シールは車に置いてきました。装備は新しく購入した超軽量のシェルターも含めて6kg程度。根っからの山屋さんではない私にはちょうどの重量。これ以上重くなるとスキーがスキーでなくなってしまいます。ガラガラ沢への進入部で滑る準備をしている時、ちょうど唐松岳の真上にジェット機の飛行機雲が見えました。関西発、千歳行きのフライトはちょうど八方尾根の頭上を飛びます。30年以上前、北の峰スキー場と富良野スキー場が呼ばれていた時代、ジャンボからとってもきれいに八方尾根が見えた事を思い出しました。八方に続いて、斑尾、野沢のシュナイダーコースが見えました。私が、八方だ、白馬岳だ、と騒ぐものですから、スチュワーデスさん達までが、ドコドコとワイワイ集まったので鮮明に覚えています。

一足先に、ボーダーさんたちのグループが準備をしています。若い人たちで、少しお兄さんのプロのガイドさんがついているようです。女の子を含めて4-5人。その着ているウェアーの可愛らしいこと、とっても様になっていました。白に赤のストライプのパーカー、オフピステのスキーヤーや山屋さんにはこのファッションはまねできません。オフピステに入ってくる若い人々は、ボーダーさんが圧倒的に多い事が理由なのでしょう。ファッションは必ず若い人がリードする。アウトドアショップはもう一度考えを改めるべきです。最近は、団塊が年を取ったものですから、購買力は若者より当然おじいさん、おばあさんの方にあります。若い時には、必至になって金をためて買った、登山靴やピッケルなどの高級品もジジババは簡単に買ってしまいます。だから、アウトドアショップの売れ筋はジジババ好みになり、若い人は見向きもしません。オリンピック選手の服装がおかしいなどとスキー連盟のお偉方が文句をいうなどとんでもない話です。シャツの裾を出し、ネクタイを緩めたファッションぐらい、時には私でもやってしまいます。東京オリンピックの入場行進、アメリカやフランスのチームの華やいだ入場に比べ日本選手団の軍隊のような行進にがっかりした事を思い出しました。スキーファッションは、必ず前年の冬期オリンピックのファッションが基になってはやります。上手にやれば、日本のボーダーファッションが世界をリードしたのに、残念な役員さんたち。ガラガラ沢の下部は左右からの雪崩が押し寄せていました。できるだけ安全そうな所を、選びながら、そっと通りすぎました。