栂池 ULシェルター

 アオヤギ君が安曇野に住んでいます。彼の先祖伝来の家は築後200年以上で、五月人形の代わりに本物の鎧と槍が床の間に飾られているような家です。彼は、小学校以来の親友で、サラリーマン社長を退職の後、安曇野半分、大阪半分の生活をしています。栂池へ向かう途中、彼の家へ寄りました。庭は花いっぱい、孫たちのためのキッズハウスが庭に建っていました。次は茶室を自作するそうです。いつもの豊科駅前大石天狗屋で、馬刺とビール、焼酎の後、熟睡。
 翌朝ゴンドラ始発に間に合うよう、栂池へ向かいました。今回も単独行です。別にソロが好きな訳ではありませんが、誰も一緒に行ってくれないだけです。昨夜のアオヤギ君も、大学時代はスキー部に所属していたはずですが、そんなすごいとこよく行くねと取り合ってくれません。どうも私の事をとんでもない冒険じじいと思っているようです。
 さて、栂池ゴンドラからロープウェーに乗り換え、栂池自然園に到着。天狗原から白馬乗鞍に向かいます。今回もシールは車に置いてきました。クランポンをつけ、スキーを引っ張って登っていきます。天候は申し分ない晴れなのですが乗鞍頂上付近は、強風が吹き荒れていました。頂上近くの岩影に座っていたボーダーさんが私が登ってくるのを見て、ここ風がないよと場所を明けてくれました。ペットボトルに入れて持って来たシャンパンを開けます。ペットボトルには、他のものを入れないでくださいと書いてあります。シャンパンのような発泡性のものを入れて、気圧の低い所に行くと爆発の恐れを心配しているのでしょう。最近の企業は説明責任を取らされますから大変です。しかし、今まで白馬乗鞍の高度では爆発した事はありません。念のため、リュックの外ポケットに入れていますが、これも自己責任の範疇と理解しています。せっかくストーブを持って来たのだから、コーヒーでも入れようかと思いましたが、あまりに風が強く、こんなところで一人でコーヒーを飲んでも、全く楽しくないと気がつきました。降りる事にします。下りはあっと言うまで、今日の宿、栂池ヒュッテに着きました。まだ夕飯には時間があるので、自然園の散歩に出かけました。昔昔、距離競技をやっていた時に覚えたパスカングで快調に飛ばして行きます。今のオリンピック距離競技ではクラッシック走法と説明されている走り方です。ロープウェー駅のボランティアガイドさんの説明によれば、今年は熊が出ているそうです。気をつけてくださいと言われました。どう気をつけたら良いのか判らないので、時々、熊さんはいるかいと声に出しました。本当にハーイと出て来たら困るのので、いるよと言わないでよ、と付け加えました。夕方、非常用のウルトラライトシェルターの設営訓練をします。760gドーム型。ULシェルター、 これを本当に使う時は、かなりパニックのはずです。怪がをしているかもしれません。非常の時はこんなきれいな森に囲まれた、風のないフラットな場所であるはずはありませんが、まずは第一段階です。このシェルターの説明書きの面白い所は、テントではありませんから、テントとして使わないでください、と書かれている事です。どう見てもテントなのですが、これも企業説明義務なのでしょう。  持っているものをなくさないように慎重に組み立てていきます。夏でもテントで生活すると、よくものがなくなります。雪の上に何か落として、踏みつけますと瞬間にそのものはなくなります。昨年11月立山でシールの金具をなくしてしまい大変苦労した事を思い出しました。さて、快適に眠れそうな場所はできましたが、撤収。栂池ヒュッテのお風呂に向かいました。2010-05-24